2006年11月29日

ルネ・マグリット「人の子」

The Son of Man, 1964

聖書によると、イエスも自分を「人の子」(The Son of Man )であると語っていたらしい。

人間には原罪があるという。
神は、エデンの園にある様々な木の実を食べることを許していたが唯一、善悪の知識の実だけは食べることを禁じていた。

「神は知識の実を食べて世界を創造する方法を知ったのですよ」
アダムとイヴは蛇にそそのかされ、神の命にそむいて禁断の木の実を食べる。
二人は裸を嫌い、無花果の葉を体に巻くようになった。そしてエデンの園から追放された。
アダムとイヴが知識の実を食べたことで、その子孫たち、すなわち人間は、永遠の生命を失ったとされる。
人間は知識を育て、やがて死ぬ存在となった。

俗説では、禁断の木の実は林檎とされる。
マグリットの「人の子」に描かれた男の顔は林檎に隠れて見えない。
誰とも特定できない、禁断の木の実を食べた「人の子」のひとりなのかもしれない。

「人の子」The Son of Man 1964年
ルネ・マグリット Rene Magritte 1898-1967年,ベルギー
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2006年11月27日

エゴン・シーレの描く肉と骨の魅力

Girl Standing

泣きながら描かれたような女の線の魅力がある。
エゴン・シーレの絵は、身を掻きむしるような文学、それも死に絶えた私小説という感じがする。

貧相な体だが、女の肉と骨の魅力がある。
絵に匂いがあるとすれば、(なま)の女の濃い体臭。
シーレのデッサンは、血と肉をなすりつけるようなデッサン。
シーレにとって筆を走らせることは、女の体を撫でることと同義だったのかもしれない。

たとえばクリムトの描く女が黄金の光を身に纏った「陽」とすれば、シーレのそれは女の内部に棲む懊悩を抽出した「陰」なのかもしれない。

「モデルの女は肉を抉られ骨と皮を晒し、画家自身も人に見せられない煩悩を晒す」
とでも表現したくなる。

Girl Standing
エゴン・シーレ Egon Leo Adolf Schiele
1890-1918年,オーストリー 
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2006年11月24日

エッシャー「上昇と下降」

e2.jpeg
Ascending and Descending


建物の屋上に回廊がある。
外側を右回りに移動する人たちは、永遠に上昇を繰り返している。
内側を左回りに移動する人たちは、永遠に下降を繰り返している。
死後の世界に存在するかのような不気味な無限回廊のようである。
ここに迷い込んだ人たちは、永遠に歩き続けなければならないようだ。

エッシャーは「ペンローズの階段」をもとに、この絵を描いたらしい。
サー・ロジャー・ペンローズはオックスフォード大教授で、「アインシュタインメダル」を受賞した世界的な数学者・物理学者である。
人を食ったような、ありえそうでありえない図形を遊びとして考案した。

ペンローズ教授はケンブリッジ大のスティーブン・ホーキング教授と共同で「特異点定理」を発表している。アインシュタインの一般相対性理論による時空構造には、特異点が存在することを証明したという。
たとえばビッグバン宇宙論を考えるとき、宇宙の始まりである特異点の問題が出てくる。
特異点は、大きさはないが密度は無限大らしい。しかもそこでは、すべての物理法則が崩壊するという高度に数学的な訳の分からない世界である。

宇宙の始まりを考えることは、エッシャーの無限回廊を歩き続けるようなものかもしれない。

「上昇と下降」 Ascending and Descending 1960年
マウリッツ・コルネリス・エッシャー Maurits Cornelis Escher
1898-1972,オランダ
posted by アートジョーカー at 07:07| Comment(0) | M.C. Escher | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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