なぜだかはわからないが、題名はピレネーの城である。
ピレネーの城という言葉から、ふとザビエル城を想った。
日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの生まれた城である。
ピレネー山脈はフランスとスペインを分ける山々である。
イエズス会を創ったイグナチウス・ロヨラもザビエルも、この山麓に古くから住むバスクの人だった。
バスク人は不思議な民族で、言語もヨーロッパのものとは異なり、その起源は謎とされる。
ヨーロッパ人にとってバスク語は、悪魔でさえ嫌がるほどの難しい言葉らしい。
ピレネーの山深くには、中世そのままの修道院が残る。
麓に点在するバスクの町は、おとぎ話の中にあるかのようなたたずまいである。
ピレネーそのものが近代社会という空間から離れ、異世界を浮遊しているともいえる。
ザビエルは、世界にキリスト教とヨーロッパの文化を伝えるために出発した。
万里の波濤をこえながら、ザビエルが城ごと日本にやってくるようなイメージを感じた。
「ピレネーの城」La Chateau des Pyrenees
ルネ・マグリット Rene Magritte 1898-1967年,ベルギー