
アリストテレスは「自然学」のあとに続くものとして、「第一哲学」を著した。
この表題からは、「哲学がここから始まる」という意気込みが感じられる。
「第一哲学」は、自然学を超える形而上学(metaphysics)の基礎となった。
自然学は、自然の物理的な現象を見つめるもので、形而上学はその奥にある「存在」を想うもの。
たとえば第一存在としての神を考える場合にも活かせるため、のちに神学にも採り入れられ、スコラ哲学を生むことになる。
日本にキリスト教を伝えた宣教師たちは、議論好きの僧侶などから様々な問答を仕掛けられたとき、形而上学を学んでいたことが役に立ったともいう。
アリストテレスの形而上学は、プラトンが唱えたイデア論に、アリストテレス自身の解釈でもって修正を加えたものといわれる。イデア論とは、目に見える事象などは本質としての「イデア」の影にすぎないという、独特の超自然的世界観にもとづくもの。どっちにしても、見えたままの現象を信じないし、そこに高い価値をおかない。
デ・キリコは形而上絵画の代表といわれ、ダリなどのシュルレアリスムの画家たちに影響を与えた。
形而上絵画とはなんだ?
ということになると、単なる写実ではなく、その奥にある本質を描くことだろう。
たとえばパリの町で、ショーウィンドーの向こうに立たされたマネキンを見たとき、デ・キリコの脳裏にある風景が映ったとする。
いつも何かに拘束されて生きながら、周囲とは戦争ばかりをし、屍を積み重ねている人間の都市というものが、混乱した時間のスクリーンに映ったとする。
ジョルジョ・デ・キリコ「終わりなき旅」1914年
posted by アートジョーカー at 12:00|
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Giorgio de Chirico
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