
ルノワールの絵は、豊で、ふくよかで、楽しい。
画面全体に光があふれ、色彩そのものが楽しく舞っているようだ。
日曜日はダンスの日だった。
パリの市民は、モンマルトルの丘の上にある「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」に集まった。
屋外の舞踏場は、おしゃれに装った人たちで、びっしりと埋まっている。
絵がなんだか、とろりとしている。みんな木漏れ陽に溶けてしまったかのようだ。
画面中央からやや右上にいる後ろ向きの男の帽子に光が当たっているのが面白い。
真ん中のふたりの女性の目元は、やけに涼しい。知的で柔らかな微笑みは、いつものルノワールのもの。
ある日曜日、モンマルトルの丘で賑わう人々の声が聞こえてくる。
19世紀末のパリまでタイムスリップできる絵。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」1876年
ピエール-オーギュスト・ルノワール 1841-1919年,フランス
Pierre-Auguste Renoir,Le Moulin de la Galette