
アッシリアのホロフェルネス将軍が、ベトリアの町を包囲した。
町は水源を断たれ、無条件降伏を迫られた。
そのとき、美しい未亡人ユディトが、敵陣に乗り込んで交渉した。
ホロフェルネス将軍は、ユディトの美貌に惑わされ、酒を酌み交わした。
ユディトは、酔って眠り込んだ将軍の首を掻き切って、町に持ち帰った。
大将を失ったアッシリア軍は退却した。
クリムトにとって、ユディトは最高の「素材」だったのかもしれない。
ボッティチェリ、ジョルジョーネ、クラーナハといった過去の大家たちも、ユディトを描いている。
が、それはジャンヌ・ダルクのような勇敢な聖女のイメージである。
こんなユディトを見たことがない。
天性のサディストのような、底知れぬ妖艶さが漂っている。