2006年05月15日

マネの「笛を吹く少年」

【マネ】笛を吹く少年(560mm×710mm)アートポスター

アニメの少年キャラクターの声は、女性の声優が演じるのがふつうだ。
声変わりしてしまった男では、少年を演じられない。
もしかすると、現実の少年自身も、架空世界の少年を演じることができないのかもしれない。
少年期の男子がもつ不思議な魅力は、中性的であり、また女性的でもある。

マネは、「笛を吹く少年」を描くにあたって女性のモデルを使った。
ヴィットリーヌ・ムーランという町娘で、マネがよく使ったモデルだった。
楽隊の少年が放つ不思議な魅力の秘密も、そこにあるのかもしれない。

この絵には背景がない。後ろにあるべきさまざまの景色がない。少年の表情と、細く柔らかな体の線だけを観るためには背景など必要としないと思う。
しかし、当時のサロン展の審査員たちには理解されず、「笛を吹く少年」は落選したという。
「居酒屋」を著した自然主義の文学者エミール・ゾラは、マネの絵の理解者だった。
この絵が落選したことを知って怒り、マネを擁護する美術批評を書いたという。
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2006年05月08日

アルフレッド・シスレー

Snow at Louveciennes, 1878 Sisley, Alfred

太郎を眠らせ 太郎の屋根に雪降りつむ
次郎を眠らせ 次郎の屋根に雪降りつむ  

この絵を観ていると、三好達治の「雪」という詩を思い出す。
日本人は風景画が好きだという。それも詩情のある風景が好きだ。

シスレーは1839年、パリに生まれた。国籍はイギリスにあった。
一時期、ロンドンで商売をしていたが、23歳の頃にパリに戻り画業を志す。
モネやルノアールら印象派の画家たちとの知己を得、印象派展に出品するようになった。

シスレーの描く風景は端正で静謐である。
「事件」といえば雪が降ることぐらいだ。
雪に閉ざされた町から「無音の音」が聞こえてきそう。シスレーの絵を観ていると「無音の音」というものが存在するような気がしてくる。

アルフレッド・シスレー 「雪のルーヴシェンヌ」1878年
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2006年05月07日

マネの大胆さ、オランピア

Olympia, 1863 Olympia

オランピアとはなんだろう。
黒人女が持っているのは客から贈られた花束であるという。
オランピアは実在した娼婦の名前だった。
つまりマネは、江戸の浮世絵師たちが巷で噂の花魁を描いたように、花街の女その人を描いた。

当時のひとたちは衝撃を受けたらしい。
画家はモデルを使って裸婦を描いたが、それはたいてい匿名だった。あるいは神の世界の裸婦だった。
鑑賞者は現実の匂いをかがされた。
マネは生きた女のリアリティを突きつけたようだ。

凛とした女。
気高そうで、客の方が贈り物をし、かしづかなければならないようなふんいきが漂っている。
しかし、どこかすべてがまやかしのような、作られた世界のような趣。
19世紀半ばのパリにおける高級娼館がどういうものだったのかは知らないが、クールベはオランピアを一見して「スペードのクイーンのようだ」と言ったらしい。

マネは、自然の景色だけではなく、人間から感じた印象までを描いた。
マネがいわゆる印象派の画家であるかどうかはともかく、これぞ印象派の真骨頂ではないだろうか。

「オランピア」エドゥアール・マネ 1863年
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