2006年06月04日

カイユボット「パリの通り、雨」

Paris Street Rainy DayParis Street Rainy Day

映画のワンシーンのようだが、構図にどこか違和感がある。
広角レンズによって空間が引き伸ばされたような奇妙な風景である。
2点透視によって描かれた左奥の建物がずしりと重い。
中心に、まっすぐな瓦斯灯がそびえ立って、絵をふたつに分断しているかのようでもある。

背景の建物や通りを歩く人たちと、手前の男女のいる空間は、どこか異質なような気がする。
空気の変化によって表現される、不思議な遠近感があるようだ。
上映中のスクリーンの前に、ふたりの男女が立っているような感じもする。

石畳が濡れてきらきらしている。
時に、雨はいい。
街の喧噪は雨音に包まれて、ふたりのための空間は静かになる。
雨の街をふたりで歩くことは、ふたりで映画を観ることと同じように楽しい。

「パリの通り、雨」1877年
ギュスターヴ・カイユボット Gustave Caillebotte 1848-1894年,フランス
posted by アートジョーカー at 04:56| Comment(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月02日

カイユボット「床に鉋をかける人々」

Raboteurs De ParquetRaboteurs De Parquet

なんだか変な絵である。不思議な奥行きと存在感がある。木の床の湿り気を感じる。
ファッション雑誌に掲載されている、どこかのブランドの広告写真のようでもあるが、19世紀の後半に描かれた絵だ。

湿気でめくれたフローリングの表面に鉋をかける男たち。
腕が長く、背中の筋肉がセクシーである。

三人の働く男たちと散らばった鉋屑(かんなくず)の配置。そして窓から入ってくる光が構成する、その時ならではの風景をキャンバスに写し取った印象絵画。つまりカイユボットも印象派の画家のひとりだった。
べつに印象派で括られる画家たちの画風が似ているわけではなく、それぞれに独創的なのだが、カイユボットはその中でもなにかこう、異質であるような気がする。

印象派の画家は、たいていが貧乏だったようだが、カイユボットは裕福だった。その点も異質だった。
絵を描くだけではなく、他の画家の作品を買い取って彼らを支えたという。
パリのオルセー美術館が所蔵する印象派作品群は、カイユボットのコレクションを基礎としている。

「床に鉋をかける人々」 1875年
ギュスターヴ・カイユボット Gustave Caillebotte 1848-1894年,フランス
posted by アートジョーカー at 06:08| Comment(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月26日

マグダラのマリア、危うい壁画2

ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」50号【名画ドットネット】

「最後の晩餐」も、かなり危うい。
遅筆の天才といわれるダ・ヴィンチだが、この壁画は2年ほどで描き上げたらしい。
壁画なのにテンペラ画の技法で描いたため、ダ・ヴィンチ存命中から顔料が剥がれ始めたといわれる。その後も時の浸食、損傷を受けながら、数百年に渡って何度も修復が行われてきた。
洪水にみまわれたりもした。
第二次世界大戦下のミラノ空爆では、「最後の晩餐」がしるされたサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ修道院の食堂そのものが破壊された。しかし壁画自体は紙一重で生き残ったという。
「最後の晩餐」の薄まり消えゆくような危うさの中に、ミステリーがあるのかもしれない。

小説「ダ・ヴィンチ・コード」では、真ん中のイエスの向かって左にいるのがマグダラのマリアではないかという。その、さらに左横のペトロとの3人でMという字を構成するとか。

しかしユダが罪人として差別されず、みんなと並列して描かれているため、すべての罪人も、やがて許され救われることを示す奇跡の構図であるという捉え方があるようだ。

レオナルド・ダ・ヴィンチ Leonardo da Vinci1452-1519年,イタリア
「最後の晩餐」1948年 サンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ修道院
posted by アートジョーカー at 11:25| Comment(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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