2006年06月17日

リキテンスタイン 「ヘアリボンの少女」

Girl with Hair Ribbon, 1965Kiss V, 1964


現代人は自動化、機械化によるさまざまな恩恵にあずかっている。
もしも、ある大量生産品を人間の手で作ってみるとしたら、途方もない時間と労力がかかるはずである。

リキテンスタインは、たとえば印刷というシステムによって大量生産されることが前提だったコミックを、自分の手で作ってみた。
コミックには約束事がたくさんあった。パターンと言ってもいい。
パターン化された表現は誰にでもわかりやすくメッセージも一瞬で伝わる。
コミック的表現という「共通認識」が確立されたスタイルをもっていたともいえる。
それは、型にはまったスター、決まり切った表現、すべてがパターン化されたポップな消費社会のスタイルそのものだったのかもしれない。

リキテンスタインは、印刷によるドットの一点一点までも大変な手間と時間をかけて極めて精密に描き出した。恐ろしくマニアックな入念さである。構図や色彩表現にもこだわり、物語を感じさせる豊かな表情も、いわゆるコミックのそれとは異なる(しかし日本漫画の表現力は凄い)。パターン化されたコミックのカタチを借りて、手作りによる一点ものの優れた芸術作品(かもしれない)を制作したのである。

リキテンスタインの絵にふれて、ある種の怖さ--町を歩くだけでは見えにくい現代社会の本質--といったものを感じてもいいだろうし、単にどんな素材でもアートに成りうるという可能性を感じてもいいだろうし、そこは自由ではないかと思う。

左の「ヘアリボンの少女」は東京都現代美術館の常設展示作品である。
印刷というシステムによる生産品を主題として描いた絵画だから、その「印刷物」よりも本物にふれてみるのがいいのかもしれない。
1994年、東京都は6億円で購入した。
都議会では「漫画に6億円も出すのか」という怒号が飛んだという。

ロイ・リキテンスタイン Roy Lichtenstein 1923- ,アメリカ
Girl with Hair Ribbon, 1965
Kiss V, 1964
posted by アートジョーカー at 09:21| Comment(2) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月16日

アンディ・ウォーホルと消費財

Mao, 1972Mao

「アメリカの考え方はすばらしい。
平等になればなるほど、ますますアメリカらしくなるからだ」
-アンディ・ウォーホル

平等とは物と情報が誰にでも広くゆきわたることかもしれない。
アンディ・ウォーホルは広告クリエイター出身でもあり、大量生産、大量消費時代を象徴するアーティストといえる。主題に選んだスープ缶やコカコーラは大量生産による「消費財」で、さらに絵そのものもシルクスクリーン印刷の技法を使い、ファクトリーによる分業システムで量産した。

大量消費時代は映画スターも「消費財」であって、惜しげもなく露出し、大衆はそれを一気に消費して食い尽くしてしまうか、賞味期限がきたら次の「消費財」に目を移す。
メディアはなんでも有名にし、事故や事件、犯罪者ですらある種の「消費財」にしてしまう。
そしてアンディ・ウォーホルは現実の事故や実在の指名手配犯の写真をもとにした作品を創っている。

「マオ」は1972年の作品である。
この年、ニクソンが合衆国大統領として初めて中国を訪問。米中共同声明を発表し、中華人民共和国を事実上承認することになる。 中国の指導者、アジアの巨大な共産国は、アメリカ人の目にどう映っていたのだろう。ベトナムにおいては恐るべき敵だったし、無気味で奇妙で理解できない存在だったのかもしれない。メディアは指導者の肖像をひとつの記号として大量に流し、消費者はそれを食い続けたのかもしれない。

アンディ・ウォーホルの絵とは、なんでもかんでも大衆の前に引きずり出し、食い尽くし、平等と騒がしさを好む消費社会そのものの表現ではないかとも思う。


「マオ」1972年
アンディ・ウォーホル Andy Warhol 1928(1931)-1987年,アメリカ
posted by アートジョーカー at 09:39| Comment(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月13日

アンディ・ウォーホルが描いた女たち

Jackie, 1964Shot Blue Marilyn, 1964Ingrid with Hat

左より
ジャクリーン
ジョン・F・ケネディ第35代合衆国大統領夫人、ファーストレディ。
1963年、ケネディがダラスで銃撃された時、リムジンのシートの隣に座っていた。
飛び散った夫の頭の一部をとっさに拾い集めようとする映像が衝撃的だった。
のちに、ギリシャの海運王オナシスと再婚した。
Jackie, 1964

マリリン・モンロー
50年代のハリウッドスター。
主演作は「帰らざる河」「お熱いのがお好き」「七年目の浮気」など。
大リーガーのジョー・ディマジオ、劇作家のアーサー・ミラーと結婚のちに離婚。
ケネディ大統領との恋の噂もあった。
32歳の時、精神不安から入院、謎の死をとげる。さまざまな陰謀説が飛び交っている。
Shot Blue Marilyn, 1964

イングリッド・バーグマン
知的な美貌で知られるスウェーデン出身の名女優。
ハンフリー・ボガードとの共演による「カサブランカ」、ゲーリー・クーパー共演「誰がために鐘はなる」、「ガス燈」「追想」「ジャンヌ・ダーク」など映画史に残る多くの作品に主演。
「ふたりのトスカーナ」のイザベラ・ロッセリーニはバーグマンの娘。1982年没。
Ingrid with Hat

アンディ・ウォーホル Andy Warhol 1928(1931)-1987年,アメリカ
posted by アートジョーカー at 04:40| Comment(2) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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