2006年06月27日

空もオリーブの木も、ゴッホのうねる光景の中へ

La Recolte d'OliveLa Recolte d'Olive

「オリーブの木に青白い花が咲き、昆虫がさかんに飛び回る頃には景色全体が純粋な青色に輝く。葉が熟してくると、空は緑やオレンジ色の光にあふれ、秋に葉が紫がかると、あざやかな黄色の太陽との鮮烈なコントラストをなす。にわか雨の後は空全体がピンクとオレンジに彩られ、ピンク色の婦人たちがオリーブの果実を収穫する」

ゴッホにとって、オリーブ園の光景は魔法のように変化する。
個々の微細な輝きを発見する、その目と精神は、ただものではない。
現世の向こうにある神の世界の色彩(あるいは魔界の色彩)まで感じ取っているかのよう。
空もオリーブの木も草も土も、みんなうねりながら迫ってきて、めくるめく景色の奔流がゴッホを圧倒する。

フィンセント・ファン・ゴッホ  Vincent van Gogh 1853-1890年,オランダ


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2006年06月25日

ゴッホ、グレーのフェルト帽の自画像

Self Portrait in Grey Felt HatSelf Portrait in Grey Felt Hat

日野日出志の怪奇漫画に「蔵六の奇病」というのがある。
体に奇妙な出来物が発生し、村を追われた蔵六は、ひとり山に入り絵を描き始める。
自らの体から出た膿で極彩色の絵を描き始める。

創造の情熱はどんな時にもやってくる。
情熱は体を突き破ってでも表に出てくるのかもしれない。

「僕は情熱の人だ。馬鹿げたこともするし、あとで後悔もする」
「こういう僕は危険人物と自覚するべきか。そうは思わない。この情熱を良い方向へむけるためにあらゆることを試してみることだ」-フィンセント・ファン・ゴッホ

1887年といえば、ゴッホがアルルへ行く前の年だが、その頃に描かれたこの自画像にも、すでに強烈な色彩世界の表出がみてとれる。
ゴッホの内面でたぎっていたマグマが噴出し始めたように感じる。
顔面の、ひとつひとつの細胞から高温の熱が棘のように鋭く噴き出てきて、空間に飛び散り、空間そのものを回転させている。
情熱の膿を周囲にまき散らしているかのようだ。

「グレーのフェルト帽の自画像」 1887年
フィンセント・ファン・ゴッホ  Vincent van Gogh 1853-1890年,オランダ
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2006年06月01日

ゴッホが拾った女

Sorrow, 1882Sorrow, 1882

ゴッホは、ハーグという街で本格的に絵の修業をし始めた頃、ひとりの女性と出逢っている。
といっても街の女を拾っただけで、あるいは逆にゴッホが拾われただけで、それは恋の出逢いとかいうものではないのかもしれない。
シーンという娼婦だった。「悲しみ」という絵のモデルになっている。

「僕は妊娠した女に出逢った。腹の子の父に捨てられた女だ」
アル中でもあったらしい。天然痘によって顔には穴が穿たれていたという。
淋しさ貧しさ、渇愛が生んだような出逢いだった。
それでもゴッホは、生涯にただ一度の、女性との同棲を経験することになる。
ゴッホは弟テオの経済的な庇護のもとにあったが、女と子供を養おうとしたらしい。
ゴッホの人恋しさは、恐ろしく強い。淋しくて、淋しくて人を求める。

女はゴッホの「重さ」を受け入れるだけの、同じくらいの「重さ」を持っていたのかもしれない。
ゴッホと女の間には愛のようなものがあったと思われるが、女はゴッホからの結婚の申し出をことわったという。

フィンセント・ファン・ゴッホ  Vincent van Gogh 1853-1890年,オランダ
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