

日本書紀には「異国の神はきらきらし」という記述があるが、ここでいう異国の神とはホトケ、すなわち仏像のことである。
きらきらしという表現から、金箔が全身に張りめぐらされ、眩しいほどに輝いていた仏を想わせるが、表面の輝きだけではなく、ふくよかな顔に神秘的な笑みをたたえた様子に、当時の日本人は、なんともいえない神々しい光を感じたのかもしれない。
オディロン・ルドンは異国の神から受けた感銘を、淡く幻想的な趣のあるパステル画によって表した。
絵を描いたというより、夢幻の色彩をもちいて深い瞑想を行ったように感じる。
異国の神の住む精神世界を体感したのかもしれない。
題名は仏陀であるが、描かれているのは仏陀(釈迦)なのか、菩薩なのかはわからない。
「仏陀」 Le Bouddha 1907年頃
オディロン・ルドン Odilon Redon 1840〜1916年,フランス
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