2006年11月27日

エゴン・シーレの描く肉と骨の魅力

Girl Standing

泣きながら描かれたような女の線の魅力がある。
エゴン・シーレの絵は、身を掻きむしるような文学、それも死に絶えた私小説という感じがする。

貧相な体だが、女の肉と骨の魅力がある。
絵に匂いがあるとすれば、(なま)の女の濃い体臭。
シーレのデッサンは、血と肉をなすりつけるようなデッサン。
シーレにとって筆を走らせることは、女の体を撫でることと同義だったのかもしれない。

たとえばクリムトの描く女が黄金の光を身に纏った「陽」とすれば、シーレのそれは女の内部に棲む懊悩を抽出した「陰」なのかもしれない。

「モデルの女は肉を抉られ骨と皮を晒し、画家自身も人に見せられない煩悩を晒す」
とでも表現したくなる。

Girl Standing
エゴン・シーレ Egon Leo Adolf Schiele
1890-1918年,オーストリー 
posted by アートジョーカー at 04:28| Comment(0) | Egon Schiele | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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