
シーレはまだ画学生だった頃、40代半ばのグスタフ・クリムトと出会う。
クリムトは短い生涯を通じての良き師、あるいは良き友となったという。
「死と乙女」に描かれた女は、クリムトの絵のモデルをしていたヴァリー・ノイツィで、シーレの恋人だった。数年の同居生活が続くが、シーレがのちに妻とするエディットに心を移したため、ヴァリーは身を引き、第一次大戦に看護婦として従軍した。やがて病を得て亡くなる。23歳だった。
男は目が逝ってしまっている。
瞳孔がひらいているような気がする。
虚ろであり、心の抜けた肉体、すなわち死体になっているようだ。
女が寄りかかり、肉の触れあいを求めてみても、死体となった男は冷たい。
「生まれてすみません」
と書いたのは太宰治だが、シーレもまた、おのれ自身を直視し、悪臭のする心の襞までをさらけ出しているような気がする。
「死と乙女」 Death and the Maiden 1915年
エゴン・シーレ Egon Leo Adolf Schiele
1890-1918年,オーストリー
【関連する記事】
マグリット関連で流れてきて以来、たまにお邪魔してます、まといと申します。
この絵には初めて出会いましたが、なんだかすごい絵ですね。
じっと見ていて、「悪臭のする心の襞までをさらけ出しているような気がする。」とゆう感じ方に
かなり共感しています。
エゴン・シーレは独特の妖しい線を描きますね。28才で病死していますから、若い頃からすでに自分だけの世界を築いていたようです。
マグリットについての記事も、おいおい増やして行くつもりです。