
画家に描かれている女性は、ギリシア神話の神クレイオに扮している。
クレイオは9人のミューズ(女神)のひとりで、歴史を司る。
女神は、月桂冠を被り、右手にトランペット、左手に歴史書を抱えている。
「勝利を得、名声を高らかに響かせ、歴史に刻まれる」
小道具たちは、画家が将来手にする栄光の象徴であるといわれる。
フェルメールは宿屋の主人をしながら妻と10数人もの子を養っていたらしい。
将来の画家としての名声を確信していたのかもしれないが、43歳の若さで他界した。借金を残し家族は破産したともいわれる。真の名声を得るまで、200年ほど待たなければならなかった。
一時期、アドルフ・ヒトラーがこの絵に執着したらしい。
やがて悪魔的な手法で買い取ったという。
「勝利を得、名声を高らかに響かせ、歴史に刻まれる」
クレイオという女神に託された寓意が、ヒトラーの心にも強く響いたのかもしれない。
「画家のアトリエ(絵画芸術の寓意)」1665年頃
ヨハネス・フェルメール Johannes Vermeer1632-1675年,オランダ