大戦争を、たったひとりの悪童が起こすこともある。
手のつけられない悪餓鬼が、無邪気に暴れ回って勝ち誇る。
もしかすると、すべての戦争は、不気味なエネルギーを持った強力な悪童の仕業なのかもしれない。
ヨーロッパ人は、よく戦争をしてきた。
100年ぐらいぶっ続けで戦ったりしていたようだ。
日本人より戦争をよく知り、悩み、戦争について深く考えているのかもしれない。
ルソーは、幻想的な密林や、不思議な風景としての肖像画などをよく描いているが、この絵は少し変わっている。
画面には強い妖気が漂っている。
悪童の後ろにいる蹄のある黒い動物は、馬ではなく悪魔なのかもしれない。
戦争の本質とやらを、えぐり出しているような感じがする。
アンリ・ルソー Henri Rousseau 1844-1910年,フランス
「戦争」War, or the Ride of Discord 1894年
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