呪いたとえば悪相の男や魔女の姿が描かれた絵に「呪い」という題がついていたらどうだろうか。
怖いことは怖いかもしれないが、意外性や面白みがないともいえる。
そこで完結してしまうようで、その先の想像性が弱い。
しかし、青い空と白い雲を描いただけの、平和そのものの絵に「呪い」というタイトルがついていたら、激しい違和感が走るし、恐ろしい意味が込められているのではないかとあれこれ想像させられ、いっそう怖い思いをする。
ボタンの掛け違いにも似た奇妙な感じを「解消」するために、新しく思考することを促される。
おそらくマグリットは、絵にある種の「呪い」を込めている。
それは、自由に思考しろ、という呪いなのかもしれない。
思考は常に何かに囚われている。
その何かとは、時代の空気によって生まれた観念かもしれないし、文化からくる閉ざされた観念かもしれない。あるいは本来、どこにも存在していないはずの常識とかいうものなのかもしれない。
まず、「呪い」という言葉を忌まわしいイメージだけで捉えてはいけないと思う。
激しく愛する想いも、ある種の呪いだといえるし、平和への強い祈りだって呪いの一種なのである。
ピクニックを楽しみにしている子供たちが、「あした天気になれ」と願うことも、小さな呪いなのである。
呪い The Curse
ルネ・マグリット Rene Magritte 1898-1967年,ベルギー
The Art Impression
