Cypress Trees出先で腹が減ったので、中華屋に入った。
初老の夫婦がやっている小さな中華屋だった。
メニューに本格中華はなく、ラーメン屋に毛の生えたよう店で、客は近所の労働者か学生風である。
そこに、なぜかゴッホがあった。もちろん複製画で、油にまみれて黒くなっていた。
そこでは、漫画本も週刊誌も壁もゴッホも、みんな油でべっとりとしていた。
その中華屋に、なぜゴッホが存在していたのかはわからない。店主が好きで掛けているのなら面白い。しかし、誰かからの的の外れた贈り物だったのかもしれない。
おそらく誰も見てはいないだろうが、ゴッホはゴッホである。
ゴッホ本人は、どこにでも飾って楽しんでもらいたはずである。
別にゴッホが豪邸や、金をふんだんにかけた地方自治体の美術館に似合うとも思わない。
だが、中華屋のインテリアとしてのゴッホは、猛烈な不協和音を発していた。
人間社会と、うまく和音が奏でられなかった、ゴッホの生涯をふと想った。
The Art Impression
