2006年05月24日

ブリューゲル「ネーデルランドの諺」

b.jpg

諺はたいてい古い時代からあるもので、その奥深さに感心したりして「昔の人は偉かった」となる。
狭い世界だけで使われる隠語(ジャーゴン)や、外来の新しい概念を表す言葉はどんどん増えているが、新しい諺というものは、ほとんど生まれていないような気がする。
それどころか間違って使っていたりする。

「袖ふりあうも多生の縁」
を「多少の縁」と書いてしまうと、本来の仏教的な意味が忘れられるかもしれない。
「覆水盆に返らず」
を「帰らず」とか書いてしまう人も多い。
これだと、覆水という男が盆に故郷に帰ってこなかったので云々と、まるで中国の故事にあるような別の意味を持つ諺のようだ。
もっとも「覆水盆に返らず」も、おそらく出典は中国の故事だとは思うが。

ピーテル・ブリューゲルの「ネーデルランドの諺」は多弁な絵だ。よくしゃべる。それだけに楽しい。中世ヨーロッパの農民の生活の中に、たくさんの言葉が含まれている。

「二兎を追う者は一兎も得ず」は、画面の一番右下で離れたパンを同時に掴もうとして苦労している人。「覆水盆に返らず」は、その左下。「捕らぬ狸の皮算用」は画面中央からやや左よりの、まだ鳥が産んでもいない卵の数を数える男。「一石二鳥」は、中央よりやや上の、はえ叩きで二匹のはえをいっぺんに叩こうとしている人、などなど。

「ネーデルランドの諺」1559年頃
ピーテル・ブリューゲル 1525-1569年、フランドル(フランダース)
Pieter Bruegel the Elder, The Netherlandish Proverbs




posted by アートジョーカー at 16:24| Comment(0) | 美術評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。