ムンクの画家としての一貫したテーマを「生への不安」とするなら、
この絵のサブテーマは「性への不安」ということかもしない。
「わたしは誰からも傷つけられやしないわ」
変わりゆく自分に戸惑い、こころに棘ができたのか、目に強い光が宿る。
思春期という妖怪じみた季節を、特有のタッチで描ききった傑作だと思う。
背後には、のちに「叫び」などで表現されるようなうねり、それも黒いうねりがみてとれる。
ムンクの得体の知れない「目」が、少女の背後にある、他人には見えないなにかを捉えたに違いない。
ムンク『思春期』 1894年頃
The Art Impression
