
ラ・トゥールは、一般にフランス古典主義の画家として分類される。
聖書のことはよくわからない。
たけど、この一枚の絵に激しく打たれてしまった。
洗礼を受けたいとさえ思った。
この宗教のもつ深い暖かみと、神秘の魅惑にふれてしまったようだ。
闇の世界を、たった一本の蝋燭の光が照らす。
優しく無垢で純粋な、神秘の人を浮かび上がらせる。
劇的な瞬間。
ラ・トゥールはどこかフェルメールに似ているような気がする。
歴史に埋もれていたものが再発見されたこと、宗教画と風俗画があること、作風の変化を時系列で追うのが困難で、真筆の見極めもむずかしいということ。
フェルメールの真作とされているものが30数点なら、ラ・トゥールの真作は20数点(50点以上あるとする研究者もいる)。
どちらの絵も、このうえなく貴重なものであるところも似ている。
St. Joseph the Carpenter, Detail of the Infant Christ
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール Georges de La Tour
1593-1652年,フランス(ロレーヌ公国)