
なんだろう、この天井の低さは。
蟻の巣に閉じこめられた人間たちがうろうろしているようだ。
みんな身を守るかのようにコートをきっちり着込んでいる。旧共産圏の地下鉄構内を思わせる雰囲気もある。
この絵は1950年の作だという。不思議な感じがする。
「病めるアメリカ社会」の始まりは60年代の半ば頃だったと思う。1950年当時のアメリカ市民は、世界一豊かな大国の住人として、もっと明るく誇らしげな表情をしていたのではないだろうか。
トゥッカーは、まだ陽気だった頃のアメリカの底に潜む「不安」を感じていたのかもしれない。
トゥッカーのGovernment Bureauという作品も興味深い。役所の建物の中。窓口はすべてスモークガラスで目隠しされ、小さな穴から役人の目だけが覗いている。重たそうなコートを着た市民たちは、その後ろ姿のみで顔が見えない。常に監視され、並ばされる人間たちに顔はないのかもしれない。
「地下鉄」1950年
ジョージ・トゥッカー george tooker 1920-,アメリカ
The Art Impression



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