2006年04月28日

シャガールの「誕生日」

Birthday

体が宙をさまようほど、楽しくうれしい誕生日を経験したことがあるだろうか。

1914年、シャガールはベルリンで個展を開いたあと、生まれ故郷のヴィテブスクへ帰る。
そこで第一次世界大戦が始まった。サントペテルブルクで軍務につくことになる。
翌年、ベラ・ローゼンフェルトと結婚。
「誕生日」はその頃に描いた作品で、宙を舞うようなふたりはもちろん、外の景色も、部屋の調度も、すべてが明るく楽しく踊っているようである。

芸術家にとってベラとの新生活は、戦争の重力すら感じさせないほど幸福に満ちたものだったのかもしれない。
それにしても、床一面の赤い色が、とてもコケティッシュである。

Birthday,1915,Marc Chagall
posted by アートジョーカー at 16:56| Comment(0) | Marc Chagall | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月26日

シャガールの「私と村」

I and the Village
I and the Village,1911,Marc Chagall

マルク・シャガールは、1887年、ロシアのヴィテブスクに生まれた。
両親はユダヤ人である。
サンクトペテルベルクの帝室美術奨励学校で学んだのち、1910年にパリに行く。
ゴッホやフォーヴィストたちの絵によって、目の覚めるような色彩の洗礼をうけ、画風に変化があらわれた。

1911年、ラ・リューシュ(蜂の巣)に移り住んだ頃から、キュビズムの手法をもちいて、じぶんの内面世界を、幻想的に表現するようになる。
シャガールの絵には、優しい目をしたロバや牛、鶏などがよく出てきて、人と絡む。
子供の頃に故郷で感じた、うれしさ楽しさが、シャガールの生涯を通じての心象風景となり、絵画のモチーフとなった。
記憶の断片が飛び交う心象世界を、自由に浮遊しながら豊かで暖かい幻想がつむがれていく。
posted by アートジョーカー at 16:40| Comment(2) | Marc Chagall | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月23日

モディリアーニとフランス女

Jeanne HebuterneJeanne Hebuterne
背中を見せて横たわる裸婦 1917年 660×915mm Reclining Nude from the Back 1917

ふと、古いヨーロッパ映画を観たくなるときがある。
たとえば雨の休日、静かな昼下がりの頃とか。

ふだんはハリウッド映画をたのしんでいる。
ハリウッド映画は、新しいテクノロジーや現代の問題に正面から向かい、豪華なキャストと巨大な装置を使って表現され。いつもサプライズがあるし、エンターティメントとして確かに優れている。

ヨーロッパ映画は、いまも昔も、とくにどうということはない。
人の欲望や情念、性といったテーマを繰り返し扱ったものが多い。
だけど、古い街を支配する色彩の感覚や、生活の匂いのするペンキの塗られた部屋、そこで暮らす深い人間の表情……。ただひたすら、街と人を見るだけでここちよくなるようなふんいきがいい。
そしてミレーユ・ダルクやカトリーヌ・ドヌーブには、アメリカ女にはない、せつなさと、たおやかさがある。

モディリアーニが眼の中に瞳を描き入れるときは、短い酒びたりの生涯のなかで、少しだけ幸せな頃だったのかもしれない。
posted by アートジョーカー at 18:53| Comment(0) | Amadeo Modigliani | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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