
体が宙をさまようほど、楽しくうれしい誕生日を経験したことがあるだろうか。
1914年、シャガールはベルリンで個展を開いたあと、生まれ故郷のヴィテブスクへ帰る。
そこで第一次世界大戦が始まった。サントペテルブルクで軍務につくことになる。
翌年、ベラ・ローゼンフェルトと結婚。
「誕生日」はその頃に描いた作品で、宙を舞うようなふたりはもちろん、外の景色も、部屋の調度も、すべてが明るく楽しく踊っているようである。
芸術家にとってベラとの新生活は、戦争の重力すら感じさせないほど幸福に満ちたものだったのかもしれない。
それにしても、床一面の赤い色が、とてもコケティッシュである。
Birthday,1915,Marc Chagall