2006年03月27日

黄金の官能、クリムトの接吻

The Kiss


これは、世界一有名な接吻の絵だといわれる。

接吻とは、もっとも激しい性のいとなみなのかもしれない。
身も世もなく合体してしまったふたりは、ひとつの官能的な肉塊となり、足下に宝石を溢れさせながら、全身から黄金の光を発散している。
しかし、崖っぷちのような場所で抱き合っているため、どこか危険なイメージもある。

男の衣裳には長方形の、女の衣裳には円形の、意味ありげな模様が散らされている。
それぞれ、男と女を象徴する形であるらしい。

「接吻」は、クリムトがウイーン分離派から決別したのちに開かれたクンストシャウ(国際美術展)に出品された。
煌びやかな官能に満ちたクリムトの装飾世界は「黄金様式」と呼ばれる。
日本の金屏風を彷彿とさせる雰囲気がある。
ビザンチン様式のモザイク画の影響を受けたともいわれる。

グスタフ・クリムト「接吻」 1908年頃


posted by アートジョーカー at 19:54| Comment(0) | Gustav Klimt | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月26日

盗まれた恋文、フェルメール

他人の部屋を覗き見るような、ちょっと奇妙な視点から描かれた「恋文」。
この絵は、フェルメールにしては小道具が多く、多弁だといわれる。
奥の壁に掛かっている、海の風に吹かれて航海をする船の絵は、恋愛の寓意ということらしい。
だから、シターンを弾いていた夫人が、振り返りながら抓んでいる手紙は、「恋文」ということになるのだろう。

夫人とメイドは、家事(箒と洗濯かご)も忘れて、なにやら秘め事の話。
部屋の外から夫がそっと覗き見ているのか、彼女を想う別の男が様子をうかがっているのか、あるいは「世間の目」というものなのか、映画のワンシーンを切り取ったかのように、あれこれ、いろんなストーリーが浮かんでくる。

この絵は1971年に、いちど盗まれた。
アムステルダム国立美術館から、ブリュッセルの展覧会場に貸し出されているときに、何者かに持ち出された。
犯人はフェルメールを人質にとって、難民への多額の援助などを要求した。
言うことを聞かなければ、フェルメールを破壊すると脅したのである。
幸い、犯人は捕らえられたが、絵は木枠に沿って強引に切り取られていたという。

恋文を挟んで何かを語り合う女たちと、それを部屋の外から覗く視点。さらに、この絵を観る鑑賞者。なんだか不思議な「入れ子構造」になっているような感じもする。

「恋文」1670年頃

フェルメール「恋文」原画同寸大【名画ドットネット】

posted by アートジョーカー at 19:27| Comment(0) | Johannes Vermeer | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月25日

デ・キリコ、マネキンを想う

The Two Sisters (After de Chirico), 1982

デ・キリコは、動かず、沈黙する「人間のカタチ」にこだわった。
叩かれても蹴られても表情を変えない人形(ひとがた)に囚われた。
はじめはギリシャの彫像を好んで描いたが、のちにマネキンをさかんに描くようになる。
なにがデ・キリコをそうさせたのかはよくわからない。

或る怪奇小説に、こういうのがある。
物理的には、単なる一体のマネキンがあった。
ところが、見る人によって、どのような顔にも変化して映る。
ある人には別れた恋人の顔だったり、ある人には自分があやめた人間の顔だったりするという。

マネキンこそ、形而上絵画の最高の素材だったのかもしれない。
posted by アートジョーカー at 20:36| Comment(0) | Giorgio de Chirico | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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